私の遺産相続少なすぎ…遺留分減殺請求で取り分が増えるかも?

1 まずは相続における原則を知りましょう。

人が死亡した場合の相続財産の配分については、民法900条が基本になります。
この民法900条の規定には、
@配偶者と子がいればその配偶者が2分の1、残りを子供が相続する、
A配偶者と親がいれば、配偶者が3分の2、残りを親が相続する、
B配偶者と兄弟がいれば、4分の3を配偶者が、残りを兄弟が相続することが定められています。
相続人の人数を確定した上、この割合で配分する、
というのが民法上の基本的なルールであり、これを法定相続分、と呼びます。

 

2 法定相続分は絶対ではない。

もっとも、法定相続分はあくまで遺産をどう分けるについて、
民法が公平の観点から規定している原則にすぎません。
原則があれば例外もあります。
それが遺言です。

 

被相続人は、自己の財産について、死後、
どのように相続人に分配するのか、その意思を遺言として遺すことができます。
この遺言によれば、割合の変更はもちろん、遺贈や死因贈与等により、
法定相続分よりも多い相続人、少ない相続人、
場合によっては遺産がもらえない相続人まで発生することすらあることになります。

 

3 遺留分について

もっとも、あまりに相続人間に格差が生じてしまうと、
それはそれでトラブルのもとになってしまいます。
そこで、民法は1028条以下で、遺留分、というものを定めました。
遺留分とは、一定の相続人が受けることを保障するために、
遺産について法律上必ず留保されなければならないとされる(相続財産の)一定の割合を意味します。
そして、この遺留分は上記法定相続分のBの場合以外、
つまり兄弟姉妹以外の相続人に認められるもの、ということになっています。
その制度趣旨は、個人財産処分の自由と家族生活の安定・家族財産の公平な分配という、
相対することになりかねない要求の妥協・調整を図ることにあるとされます。

 

(1)遺留分を算定する。

遺留分の算定については、民法1029条・1030条が規定しています。
その範囲については、「相続開始の時に有した財産」+「贈与財産」‐「債務」という計算方法になります。
そしてここにいう「贈与」は、相続開始前の1年間にしたものに限って算入されます。
この期間制限は、まさに上記した遺留分の制度趣旨から適当なバランスをとったものになっているといえるでしょう。
その具体的な比率については単独相続の場合は、配偶者は2分の1、子供も2分の1、親は3分の1、とされます。
配偶者と共同相続の場合も子供が2分の1、親は2分の1と定められています。

 

(2)減殺請求を行う。

遺留分を有する者(遺留分権利者と言います。)、
及びその承継人は、自己の遺留分を保全するのに必要な限度で、
被相続人のなした遺贈又は贈与の減殺(効果を少なくすること)を請求することができます。
その結果、自身が考えていたより、相続財産が少ないな・・・と思ったとしても、
最低限の相続財産については権利を回復することができることになるのです。
但し、生命保険の死亡保険金の受取人の名義変更はそもそも遺贈や贈与に該当せず、
遺留分減殺請求の対象ではない、と判例で定められてしまっているため、
この様な場合については、何らの効力もない、ということになります。

 

(3)期間に気を付ける。

遺留分減殺請求権はいつまでも行使できるものではありません。
これが行使されるとせっかく話がまとまった遺産分割協議のやり直しなどがされることになり、
いつまでたっても、遺産の分割が終わらなくなってしまう可能性があるからです。
そこで民法はこの行使の期間を相続開始後1年間の短期消滅時効にかかるものと規定しています(1042条)。